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おひさま 第56号~ スギ花粉症の舌下免疫治療 / ボタン電池の誤飲 ~



奥村先生のお話【スギ花粉症の舌下免疫治療】

 今ちょうどスギ花粉のピークの時期となっています。例年と比べると、3歳くらいの年齢の低い子にも症状があり、鼻水はもちろんのこと目のかゆみなどの症状がひどい印象があります。
 スギ花粉症はスギ花粉が原因でおこるアレルギー疾患で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状がでます。花粉症の治療は、主に抗アレルギー剤の内服、点鼻、点眼ですが、皮下免疫療法、舌下免疫療法といった、減感作療法もあります。これはスギ花粉のエキスを少量ずつ注射もしくは、内服することによって、からだをならし、症状を和らげ、体質を改善する治療法です。ここでは舌下免疫療法を紹介します。
 治療期間は3年ほどです。治療を開始すると、1年目から徐々に症状の改善が感じられ、3年目になると今まで飲んでいた抗アレルギー薬がいらなくなるくらい改善します。ただ、すべての方に同じように効果がでるとは限らないので、どのくらいの効果がでるかは、やってみないとわかりません。また効果は一生つづくわけではなく、7年以上たつと再び症状が出てくる可能性がありますが、再度舌下免疫療法を行うと、また改善します。近年花粉症が低年齢化しているので、長い人生、毎年症状に悩まされ、薬を飲み続けることを考えると、減感作療法で、症状が軽くなり、抗アレルギー剤を服用する期間が減ると、かなり楽になると思います。舌下錠といってラムネのように口の中で溶けるタイプのお薬で、1日1回舌下に投与します。初回はアレルギー反応が起きないかどうか、少な目の量をクリニック内で内服していただき、30分様子をみさせていただきます。それで問題なければ翌日からそれを自宅で内服していただき、1週間後再度受診。問題なければ通常量の処方となります。最初舌下がはれたり、痛くなる副作用がでるかたがみえますが、続けていくうちに改善していきます。今のところ大きな副作用の方は経験していません。小学生で始められた方は1年目から随分症状がかるくなり、QOLの改善がみられます。この治療法はスギ花粉が飛んでいる時期には開始できません。気になる方はスギ花粉の飛散が落ち着いた頃、相談におこしください。

スタッフコラム【ボタン電池の誤飲】

今や私たちの生活の中で、小さなボタン電池はリモコン、時計、タイマー、おもちゃなど、子どもが簡単に触れられるところに、多くの場所で使われています。消費者庁 国民生活センターには、ボタン電池による事故報告が4年間に90件以上あり、そのうち11件は入院する重症事例でした。今回はそういった身近にあるボタン電池の誤飲についてお話ししたいと思います。

ボタン電池の種類

ボタン電池と呼ばれる電池にはコイン形とボタン形の形状があります。コイン形は名のごとく硬貨のように薄く、直径が2㎝前後と大きめです。ボタン形は厚さがありますが、コロンとした小さ目のものです。また、電池の中でもリチウム電池は電圧が高く(3V)、電池を使いきるまで一定の電圧を保持できるとされています。

誤飲事例の症例

特にコイン型のリチウム電池は、平たく幅が広いために食道等にとどまった場合、高い電圧で消化管に潰瘍ができたり、穴が開くなどのおそれがあるため2~3時間でも危険です。取り出すにもマグネットカテーテルを使用したり、なかには切開したという報告もあります。

重症化することを知らない

消費者庁は、ボタン電池に関するアンケートを行ったとき、8割の人が誤飲する事故が起きるとは知っているものの、全体の6割の人は重症事例を起こすことを知らなかったそうです。子どもがボタン電池を誤飲してしまったときは、一刻も早く医療機関を受診しましょう。飲んだかどうかわからないときも、レントゲンを撮れば誤飲の有無がわかります。

家庭で気をつける

とにかく子どもが触れる場所に置かないとこが大事です。ボタン電池を使用している製品を触っているうちに、蓋が外れてしまうこともあるかもしれません。どの製品にボタン電池が入っているかを確認し、蓋が外れそうなものがあったらテープで留めるなど対策を取りましょう。