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おひさま 第44号~発達障がい関連のマンガ / 新学期はストレスに注意! ~



かさい先生のお話【発達障がい関連のマンガ】

発達障がいに関して、医学専門書を読むだけでなく、患者さんや親御さんが少しでも理解しやすくなるために読みやすい本やマンガはないか探しながら日々勉強しています。以前にくらべると発達障がいに関係する本は大変増えてきたと思います。発達障がい関連で自身が目を通して良かったなあと思ったマンガを今回いくつか紹介させていただきます。
自閉スペクトラム症関連では、待合室にも置いてある「光とともに」がお勧めです。作者の戸部けいこさんは2000年から連載開始、連載途中で亡くなられ、最後の部分が構想だけで中途半端に終わっていましたが、数年前同僚の漫画家河崎芽衣さんが加筆して完結しました。発達障がいの理解がほとんどすすんでいない当時としてはかなり斬新で画期的なマンガだと思っています。今でも十分通用するような内容がしっかりと盛り込まれています。20年近く経過していますが、社会や学校の理解は進んできたとはいえ、まだまだ当時と変わらない面が多々あるなあと痛感してしまいます。他には平岡禎之さんの「うちの火星人」、「続うちの火星人」がお勧めです。以前NHKの〈あさイチ〉でも紹介されていた本でもあります。お父さんが、発達障がいの奥さん、子どもたちとどのように工夫して過ごしやすく生活をしているのかが事細かに書かれています。日常生活で参考となる面が多いと思います。
ADHD関連ではかなしろにゃんこ。さんがお勧めです。かなしろにゃんこ。さんはお子さんがADHDです。何冊もマンガを出しておられますが、特にお勧めな本は、お子さんが大人になり、子ども時代どうして問題行動を起こしていたのか息子さんが詳しく説明をしてくれる「発達障がい 僕にはイラつく理由がある!」は当事者のことを理解するには良いマンガだと思います。私自身なるほどと思った面が多々ありました。

学習障がい関連の本は少ないですが、読み書き障がい(ディスレクシア)のマンガ、愛本みずほさんの「ぼくの素晴らしい人生」です。読み書き障がい(ディスレクシア)はまだまだ医療・教育でも認知度が低いため、困っているお子さん、親御さんが多くおられます。ディスレクシアを理解するための導入のマンガとしては非常にわかりやすく良くできていると思います。マンガの主人公の姿は、外来を受診されて困っているお子さんと非常に重なります。
今後もお勧めの書籍、マンガがあれば紹介をさせていただきます。

スタッフコラム【新学期はストレスに注意!】

入園・入学・進級をむかえた親子も多いこの季節。入園や入学となると、初めての環境で変化を大きく感じたり、分からないことや初めてのことだらけで、疲れやストレスがたまりがちな季節でもあります。子どもが新たな環境に慣れ、快適に過ごしていくには、ストレスサインや症状を感じ取り、適度に発散させていくことが重要です。子どものストレスサインや気をつけたい症状やその対応について一例をご紹介します。
行動の変化
  • 学校活動への意欲がない。
  • 挨拶に元気がない。
  • 保健室に行く回数が増えた。
  • 赤ちゃん返り、幼児退行のような行動が増えた。
表情や会話の変化
  • 感情の起伏が激しくなった。
  • 無表情の時が多くなった。
  • ぼんやりしている。
  • 独り言を言うようになった。
  • 元気がない。
からだの変化
  • 腹痛、嘔吐、気持ち悪さをよく言うようになった。
  • 寝つきが悪くなった、眠れない、朝すんなり起きられなくなった。
  • チックや自傷行為が見られるようになった。

対応の例

1. 事前に新しい環境への準備をしておく。
初めての場所や新学期の予定などで、慣れない環境での活動が思ったようにできず、落ち込んでしまうこともあるかもしれません。例えば、新しい教室の場所など戸惑うことが少しでもなくなるように「できる限り事前に伝える」ことで安心して新しい場所に一歩踏み出せるよう準備しておきましょう。
2. ゆっくり話をしたり、スキンシップをとる時間を意識的に設ける。

親子でゆっくりお話をしたり、スキンシップをとったりするだけでも、子どもの安心感が高まり、また「いつもと違うかも?」という子どもの変化を確認できます。
3. 定期的にすきなことを存分にさせる。

好きな活動を存分にさせることがストレス発散になることもあります。学校終わりや休日などを見て、子ども自身が好きなことに思いっきり熱中できる環境を用意するのはいかがでしょうか。
4. 登園・登校しぶりが激しい場合は無理せず、家庭でゆっくりできるようにする。
新学期は登園・登校しぶりが多くなる時期。登園・登校しぶりを見せた場合は、まず「行きたくない気持ちを受け止めること」を心がけることが大切です。子どもの気持ちに共感し、認めてあげることで、子どもの感情の波や不安定さが落ち着いて、登園・登校できることもあります。どうしても行きたがらない場合は、強制せず、家で過ごせるようにしてあげることも大事です。休んだ日はその日にやることを子どもに決めさせたり、感じていることを紙に書きだしてもらったりするなど、子どもの活動を促してあげることを心がけましょう。