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おひさま 第91号~ 子どもの権利 / 行事食はどうして食べるの? ~


おくむら先生のお話【子どもの権利】

子どもの権利条約という言葉をきいたことがありますか?
これは、子どもは「弱くて大人から守られる存在」という考え方から、それだけではなくて、子どもも「ひとりの人間として人権(権利)を持っている」といる考え方に大きく転換させた条約で、平成元年に国際連合で採択され、平成6年に日本が条約に批准したものです。現在196の国や地域が条約に締結しており、世界中の子どもの権利が尊重されています。子どもの権利条約においては、子どもが「権利の所有者」で、それを守る「義務の担い手」は国で、子どもを育てる責任はまず親にあり、国がそれを支援するということも書かれています。
この条約の基本的な考え方は次の4つです。●差別の禁止(差別のないこと)●子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)●生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること)●子どもの意見の尊重(子どもが意味のある参加ができること)。平成18年には岐阜市でも子どもの権利に関する条例が制定されています。ここでは 「人は誰もが生まれた時から幸せに生きる権利を持っています。子ども一人ひとりが、本来持っている力を発揮して、いきいきと自分の可能性を追求し、幸せな人生を送ることができるよう、私たち大人は、子どもの権利の保障に最大限努める必要がある」と書かれています。

長々と難しいことを書きましたが、要は、子どもは大人の所有物でも付属物でもなく、一人の人間であり、幸せに生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利、意見をいう権利があり、それらは全て尊重されるべきということなのかなと理解しています。私たち小児科医は常にお子さまの一番の味方になりたいと思って日々診療をしているつもりです。お母さん、お父さんもそうだと思います。
でもここで思い返してみませんか。大人の都合、意見、価値観を子どもにおしつけていませんか?子どもの意見をきいていますか?尊重していますか?
子どもの権利って何?って思うけど
実はすごく身近で、ありふれたことで、すごく大切なことだと思いませんか。

スタッフコラム【行事食はどうして食べるの?】

行事食とは

季節毎折々の行事やお祝いの日に家族の幸せや健康を願って食べる特別な料理のことをいいます。最近では1月に食べるおせち、2月には節分の恵方巻きがありました。日本には古くから、季節の変わり目などに旬の食材を使った料理を神様にお供えして、作物の豊作や家族の健康、幸運を願う風習がありました。また、神社などで行われる祭事の後には「直来(なおらい)」と呼ばれる食事会が実施され、直来では「神様と同じものを食べる事でご加護を得られる」という考えから、神様へのお供え物を参列者同士で分けて食べるのが習わしとなっています。様々な行事がありますが、今回はこどもの成長を願う行事のご紹介をします。

3月3日 桃の節句

雛人形を飾り、女の子の無事な成長を祝う日本の伝統文化。桃の節句の行事食では、ちらし寿司が定番です。ちらし寿司は、料理そのものではなく使っている具材に意味があります。
・えび・・・腰が曲がるまで体が丈夫ということで長生きするように
・れんこん・・・穴が空いていることから将来の見通しがきくように

 また、はまぐりのお吸いものは対になっている貝同士でないとぴったり合わさらないことから、良縁に恵まれるようにという願いがこめられています。

5月5日 端午の節句

男の子の成長を祈願する日ですが、現代の日本では「こどもの日」として親しまれ、性別に関係なく子どもの成長をお祝いする日となっています。端午の節句では柏餅や草餅が代表的です。
・柏餅・・・柏餅に使われる柏の葉は、新しい芽が出た後に古い葉が落ちていくことから「家系が途絶えることのない様子」に見立てて子孫繁栄祈願
・草餅・・・薬草であったヨモギを使い厄よけとして、「子供の災厄を払う」

5月に旬を迎える筍も大きく真っすぐに成長するという特性から、こどもの成長を祈願する縁起の良い食べ物とされています。
何気なく食べていた行事食にも、一つひとつ意味があります。文化を伝えていくという観点からも、子どもたちに行事食に込められた意味を伝えていくことは大切ですよね。ぜひ、食をきっかけに子どもたちと伝統的な行事を楽しんでみてください。