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おひさま 第90号~ ADHD(注意欠如多動症)のこと / 子どもと自律神経 ~



かさい先生のお話【ADHD(注意欠如多動症)のこと】

 「発達とこころの外来」をしていますが、ADHDの説明をさせていただく際によくドラえもんの登場人物である、のび太君とジャイアンの話をさせていただくことがあります。
 まずのび太君です。集中力がなく、ぼーっとしていて、勉強が大の苦手、忘れ物が多く、そんな態度が何度注意されても改善されず、いつもお母さんや学校の先生から怒られています。このような様子から、のび太君はADHDで不注意優勢型の特徴を持っていると考えられます。次はジャイアンです。ジャイアンは衝動的で乱暴、ドラえもんやのび太君、スネ夫君にちょっとしたことにキレて暴力をふるっています。またジャイアンは母親や先生から結構体罰を受けているので、虐待的な要素も関係しているかもしれません。虐待的な要素を受けているお子さんはADHD様の症状を呈することも言われています。したがって、ジャイアンはADHDの多動衝動型(+虐待要素のADHD症状もあるのかな?)といったところでしょうか。そしてのび太君が非行や不登校にもならず学校にがんばって行けているのは、ドラえもんがお助けグッズを出してくれて日常生活を支援してくれているからです。
 ADHDの治療は環境調整(家庭、学校など)と、医療的には投薬となります。ADHDのお子さんはまずじっとしていることがとにかく苦手です。したがって、学校の教室で授業中先生の話をじっと座って聴いていることは苦痛で仕方がありません。しかし、理科の実験や図工、体育など体を動かしながら勉強・活動することは合っています。座学で勉強するよりも、体を動かして体験したり経験したりする勉強スタイルが合っているお子さんです。
 医療的にADHDには現在4つの薬が日本では承認されています。基本的に脳内のドーパミンを増やすお薬です。投薬を希望される親御さんやお子さんがいる一方で、できれば投薬を避けたいと言われる親御さんが一定数見えます。当然環境調整との両輪だと考えますが、投薬以外に何かよい方法がないか、いろいろと勉強をしたり考えたりしました。1つは運動です。少し心拍数が上がる運動は脳内のドーパミンを増やし集中力が上がります。まずは日常生活に運動を積極的に取り入れること。あとADHDはむずむず脚症候群とも関係も言われており、外来でもADHDにむずむず脚症候群を合併しているお子さんもおられます。むずむず脚症候群はドーパミンの低下が言われており、鉄剤を投与します。鉄はドーパミンの原料になり、鉄分がしっかり取れるような食生活に気をつけることも大切だと思います。人間の生活の基本である運動や食生活を見直していくことも大切だと考えます。

スタッフコラム【子どもと自律神経】

自律神経は呼吸や血圧、体温、睡眠など生きていくために必要な身体の機能を調節しています。人前に出て緊張した時に心臓がドキドキしたり、汗が出るのも自律神経が働いているからです。このように自律神経は心と身体に密接に関わっています。
生きるうえで重要な役割を持つ自律神経ですが、生活リズムの乱れ、ストレスや睡眠・運動不足、偏った食事などで自律神経が乱れることがあります。

◆自律神経が乱れると…
頭痛、倦怠感や不眠、めまい、腹痛、イライラ、気分の落ち込みなどの症状が現れやすくなります。
自律神経の乱れと聞くと大人の症状と思われがちですが、身体の機能が発達の途中の子どもでも精神的な緊張などが誘因となって自律神経の調整が上手くいかなくなることがあります。特に思春期は体や心の面で変化が大きく、自律神経の調節機能が乱れやすい時期です。自律神経の働きを自分でコントロールすることは出来ません。しかし、生活習慣を見直すことでバランスが崩れないように予防することは可能です。

≪生活のリズムを整えよう≫
自律神経には、活動するときに働きアクセルの役割をする「交感神経」と、休息やリラックスをするときに働きブレーキの役割をする「副交感神経」の2つがあります。不規則な生活を続けると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れやすくなります。毎日の生活のリズムを整えて、規則正しい生活を送りましょう。

●決まった時間に起きて陽の光を浴びよう
朝に太陽の光を浴びると、副交感神経と交感神経が切り替わり身体が活動モードになります。逆に、夜遅くまでテレビやスマホ・ゲーム画面などの光の刺激を受けていると自律神経が活発になり、身体が休息モードに切り替わることができません。睡眠を妨げる要因になるので気をつけましょう。

●朝食は毎日食べよう
朝食をとると、体内で熱が産生されて体温が上昇します。それに伴い交感神経の働きが活発になります。少量でもよいので、朝食は抜かずに毎日とる習慣をつけましょう。また、朝食に限らず食事を毎日なるべく決まった時間にとるということも生活リズムを整える上で大切です。

●リラックスできる時間をつくろう
ストレス発散方法には、適度な運動、音楽を聴く、読書などがあります。リラックスできる時間や場所を作ってみてください。お子様の気持ちを大切にして、否定しないこと、本人の気持ちを受け止めてあげることも、心と身体を守ることにつながります。