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おひさま 第89号~ インフルエンザは秋からずっと / 『今日は何をするか』伝えていますか? ~



かさい先生のお話【インフルエンザは秋からずっと】

 早いもので、今年も最後の「おひさま」となります。今年の小児科外来は異例続きの1年で終わろうとしています。5月のコロナが5類移行後、マスク・手洗いなど過剰な清潔生活から通常の生活になり、子どもたちに様々な感染症(インフルエンザ、コロナ、アデノウイルス、溶連菌、感染性胃腸炎などなど)が治まることがなくずっと続いています。そのため小児科は切れ目なく忙しい状況です。みなさん最近小児科外来の予約が取りづらくなっていませんか?ご迷惑をかけて大変申し訳なくも思っています。
 今シーズン、インフルエンザは9月くらいから始まって、ずっと流行が続いています。例年であれば、年末年始あたりからA型の流行があり2月上~中旬くらいで収束、春先に若干B型が流行するパターンです。しかし今年は、A型(おそらく2種類)、B型のお子さんもでていて、3種類同時流行しています。もうこのシーズンで2回感染しているお子さんも何人もおられ、最近では2週間の間隔で再感染したお子さんもおられました。 1シーズン3回感染するお子さんもそのうちでてくるのではと思っています。こんなことは、小児科医を20年以上していますが、初めての経験です。
 インフルエンザは熱中心の風邪です。急に高熱がでることが特徴で、咳や鼻汁などの風邪症状は比較的軽度です。外来でお子さんを診察しているとのどは赤くならず、顔を真っ赤にし、目がトロンとしてかなりだるそうなご様子です。インフルエンザは感染力が強く、2-3日で次々と家族に広がっていきます。家族で1人インフルエンザと診断され、他の家族で体調が悪くなれば検査するまでなく、ほぼインフルエンザです。インフルエンザは自然経過では5-7日程度高熱が続きますが、自然にも治っていきます(タミフルがなかった研修医時代はゆっくり寝てなおしていました)。インフルエンザの薬を飲むことで発熱期間を2-3日程度に短縮できます。インフルエンザの薬はウイルスの増殖を押さえる薬なので、例えば タミフル5日間終了したあとにまた少しウイルスが増え、再度熱が出る方もおられます。
 数年間インフルエンザの流行がなかったので、この様子だとまだまだしばらく、インフルエンザの流行は当面収まらないのではと考えています。最後に、検査のタイミングですが38℃以上の熱が出てから12時間程度たってからが正確です。そのタイミングで受診することが大切です。

スタッフコラム【『今日は何をするか』伝えていますか?】

 今年も残りわずかとなりました。毎年10月中旬から接種の始まるインフルエンザワクチンの接種も終盤になってきています。年齢によってはとても久しぶりに予防接種を受けるお子さんもみえます。ドキドキしながらも、頑張って接種を受ける姿がみられます。そこで気になるのが、「ねえ、今日は注射するの?」と何度も保護者の方に聞きながら部屋へ入ってくるお子さんです。先生の診察後、接種をする段階で何も聞かされずにきたお子さんは、少なからずパニックになり、『聞いてない!』と大きな声を出して抵抗しています。
 お子さんに『何をするのか』伝えることも予防接種の準備のひとつなのではないかと思います。
▼予防接種の必要性を説明しましょう
 予防接種には定期接種、任意接種とあり、定期接種の接種開始は2ヶ月~からです。『2ヶ月の赤ちゃんに言ってもわからないのでは?』と言われるかもしれません。ですが、生まれてすぐから保護者の声のリズムや音の高低、長さなど認識して2か月頃から“喃語”(あーう~など言葉にはならない赤ちゃん言葉)を話し始めます。赤ちゃんって実はとても話を聞いていて、感じています。病院へ行く準備中、コミュニケーションとしてお話ししてあげてみるのもいいのではと思います。
“理解できる”年齢のこどもたちに話すことはとても大切です。『病気に負けない強いからだになるよ』など、こどもたちにもわかるような伝え方でワクチンを接種する大切さを説明すると理解しやすいです。

▼嘘やごまかしはダメ
『注射はしないよ』と嘘をついて病院に連れて行くと、嘘をつかれたとショックを受けますし、保護者に対して疑心を抱いてしまうかもしれません。『注射は痛い』ということもきちんと伝えておく事が大切です。時々、『痛くないよ』と伝えている保護者の方がみえますが、伝え方はとても大切で、『痛いよ』と伝えるのでなく、『ちょっとチクッとするよ。でも直ぐに終わるからね』などの声掛けをしてあげて下さい。こどもにも心の準備をさせてあげる事が大切です。

▼泣いてもいい事を伝えましょう
『痛かったら泣いていいんだよ』と伝えてあげる事で、子どもは気持ちが楽になります。注射を打って泣くことは決して悪いことではないです。

▼予防接種後はちゃんと褒めてあげましょう
たとえ暴れたりしたとしても、予防接種を受ける事ができたという結果に対してしっかり『具体的に』褒めてあげる事が大切だと思います。『頑張れた!できた!』がお子さんの達成感につながります。
予防接種に限らず、どんなことをするのか受診前にお話ししていただくとお子さんの”気持ちの準備”ができると思います。是非ご家庭から、『今日は何をするのか』お子さんとお話ししながら受診してくださいね。